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研究をやっていく上で、完璧すぎる奴は逆に何かを見落としている可能性がある。

研究をやっていく上で、完璧すぎる奴は逆に何かを見落としている可能性がある・・・
これを最近、最高に実感しました。

科学者という仕事*1という本に書いてあったんですけど、研究者にはある程度のいい加減さが必要なのだそう。2年程前にこの本を読んだときはこの意味が分からなかったし気にも留めていなかったのですが、これは実に、実に本当だった。そしてこのある程度というのが絶妙で、まったくいい加減であれば気付かないし、マジメすぎても気付かない。マジメに取り組んでいる上で、すこし気を抜く程度のいい加減さが必要なのだと思います。そしてそのいい加減さがクリティカルに実験の致命傷にならない程度、その程度が大事なのだと。

医学系の研究室で基礎研究やってます。今回経験した成功は、”毎日丁寧にデータ取りをせずに、4日ほど実験系をほったらかしにしておいたら良い結果が生まれた”という感じのものです。このほったらかしは実験において致命傷になるようなものではなく、特に何の問題にならないものだ、という点が重要だと思います。つまり毎日そのデータ取りを行う方が多くの情報が得られる可能性がある訳で、普通に丁寧に実験を進めるなら是非ともやっておきたいところですが、まあ最終的な結果を見るだけでも特に問題はない。今までは丁寧にデータ取りまくってきましたが、たまたま平行実験が多すぎてその実験をほったらかしにしてしまいました。そしたら4日後にとても良いデータが取れたという訳です。しかも再現性もある。つまりはそのデータ取りを行う操作が、その対象に負担を与えまくっていたという事です。これをふまえて、同じサンプルを使って日々データを取るのではなく、データを取る回数分サンプルを用意することにしました。例えば5日間データを取るなら5つのサンプルを用意するわけです。
単純ですが、まじめにコツコツやってたら気づかなかったと思います。これでワンステップもツーステップも実験が進みました。

まともに研究を初めて4ヶ月の若造ですけど、「適度ないい加減さもたまには研究の進捗に寄与する」、これは覚えておいた方がいいんじゃないかと思ったので共有します。

*1:これは最高の名著なので理系の人は読んだ方がいい、と思いますよ